空が近い週末

週も半ばを過ぎた平日の、それも昼下がり。
いい歳をしたオトコが呑気にキッチンに立っている。
大鍋いっぱいのスープづくり。
具だくさんのスープは、あれこれ使い回せるからな‥

それにしても、平日と週末の区別なく暮らす期間が随分と長くなった。
現に今も定休日は無く、かといっていつも忙しいわけでもない。
人はこれを、メリハリのない毎日、と言うのだろう(その通りだナ)。

そういえば会社勤め時代、週末が主戦場となる不動産販売の現場に結構長く居た。
土日は目が回るほど忙しく、手付かずの弁当を夕方になって皆で食べることもあったな。
それを尻目に、応援に来た上司が早々にお握りをコッソリ頬張る(笑)ところを現行犯逮捕したり‥

そんな疲労困憊の週末が明け、月曜日の辛くツラい報告会議を経て、ようやく(平日だけど)週末を迎えて‥
「それでは二日、いや先週末は三連休の出勤だったので振替休日を三日いただきます」
そんなわけナイだろう‥
会社というのは月曜日から始まるのだよ、トホホ。

「いけだ、あの件はどないなっとるんや?明日説明や、一緒に‥」
「池田君、建築との打ち合わせ、水曜日しか予定合わないのだけど出られるかな‥」
「火曜日、専務が(ついでに)現場行かれる言うとる、いけだは居らんのか」

かくして平日の振休は無残にも削られ続けた。
まだ若く、現場責任者だった数年間に積み上がった未消化振休は〇〇〇日と、かるーく三桁を駆け上がっていった。
え、一年間は50週ちょっとだぞ。
一年間の土日全部出勤したとしても100日じゃないのか、未消化は。
〇〇〇日って、どんだけだよ‥

この未消化分を闇に葬らず帳簿に残し、放置してくれた会社の度量は認めよう。
とはいえ、いかんせんマズイだろう。
労基にニラまれるのも止むを得まい‥

まぁ大きくなった会社の地中深くには、礎(いしづえ)となった面々が多数埋まっているのだろうと思う。

そんな感じで、週末のない暮らしは続いた。
クラス会行けない、ハナキン飲み会の翌日ツラい‥
昔の仲間でキャンプなんてとんでもない(幸いその志向がないが)

だからだろう、すっかり一週間にメリハリや境目のない人間が誕生した。
近年の話だが、こんなことがあった。
サラリーマンを長く続けている学生時代からの知人。
ふたりで異境へ旅した仲だ、スピーチだってガツンとやってやった。
数年会っておらず、いつ会えるのかと時折、催促がくる。
そんなに言ってくれるならと「土曜の午後どうだ、日曜もOKだが?」と返した。
こちらは、たっぷりと時間を取ってゆっくり話そう、という気持ちも含んでいるのだが‥

すぐに戻ってきた答えは「平日ダメなのか?」
ボク「今はダメだな」
知人「そうか、大丈夫になったら連絡待ってるわ♡」

そうくるか?
そうなのだ、週末休日は別腹なんだよ。
もちろん我々二者の関係においては‥かも知れないが。

仕事のない平日夕方、陽の沈む頃。
ボクは自宅を出て、嬉々として上り方面の電車に乗り街へ出掛けるのだ。
若いころからの慣れ親しんだ行動パターンに疑問も持たず‥
仕事帰りのメンバーに混じって‥(笑)