
上の写真は、スペイン/バレンシア地方を歩いた際に撮ったもの。
視界のほとんどは空、ソラ、そら!、抜けるように青い。
そう、バレンシアオレンジだ、たわわに実をつけている‥
ん?
たわわに‥実をつけてい‥る?
どう見ても「たわわ」ではない、それに少々貧相ではないか。
これ、オレンジぢゃなくて、ミカンじゃね?
「生産緑地地区」という看板を立てた土地を、見かけることが多い。
仕事をしていても(あまりしていないが‥)、ぶらぶらしていても、たまに見掛ける。
ということで、都市近郊でよく見かける生産緑地。
あちこちに点在するのには、それなりの理由がある。
「それなりの理由、とやらを教えてくれないか」
「いやよ、勝手に調べればいいんだワ」
「ふん、もはや単に”知っている”ことに、取り立てて価値があるとは思わんな」
「そうヨ、わかってるじゃない。知ることより考えること‥よ」
「なんだ、どっかの哲学者みたいじゃないか‥」
「おぢさん、知っているの?」
「そりゃ考えるには、考える前に知ること、が必要だったりするからな‥」
「なんだか、わからないわ‥」
生産緑地には、もちろん家などは建っていない。
「この畑の真ん中に家をたてたいわぁ、大草原の小さな家ね‥」
などと人の土地を前にして勝手なことを考えてはいけない。
ところが、そんな緑地が唐突に宅地化される。
わーい、ワーイ!
しかし、狭小な戸建てが並ぶことが多いのは、気のせいだろうか。
よくあるハナシだ、それぞれに事情があるのだ。
冒頭の写真も、実は生産緑地。
道路から少し上がった、小高い丘のようになっている。
そして点在する樹々の先に、地平線が少し丸く(丸いように‥)見える。
なぜだろう、それほど大きくない土地なのだけれど。
この土地を眺めていると、ここに地球の端があると感じる不思議。
通るたびに、まあるいなぁ、と呟く。
すると続いて、こんなセリフが口をついて出た。
まるいちきゅうのまるいちにち‥
そう、
まるいちきゅうの まるいちにち
とは、ある絵本の題名。
はらぺこあおむしのエリックカール氏、
こんとあきの林明子さん、
そして安野光雅さんら世界の作家たちの手に依る。
世界各地の暮らしが同時進行で描かれるおはなし。
朝も昼も夜も、同時に存在している。
たぶん、ちきゅうはまるい、のだ。
そうなると外せないのが、この詩。
カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球で
いつもどこかで朝がはじまっている
(続く‥)
改めて語るまでもない「朝のリレー」。
ローマ遺跡の柱頭が朝陽に染まる様を想像してみる。
時空さえ超えて!世界が朝でつながっている!そんな気分。
ああ、ローマ!
Romeだってすぐそこに‥
All mornings lead to Rome.
Romeと言えば‥
高校1年英語の授業時間だった。
ローマ遺跡に関する文章の和訳を教師から求められたヤツが、
「エーッ、エヘン‥」と改まったのちに堂々と(そう、いいヤツなんだ)、
「ロムくんが‥」と話し始めた。
教師とクラス全員が一瞬固まり‥
ついで、爆笑と称賛の嵐となったのだった。
たしかに後で思えば、ローマの語源は人の名前。
都市を擬人化して深く表現しようとしたのかもしれない。
だとしたら、笑って悪かったよ‥(それはナイ、のだが‥)
そんな彼も立派な大人になり、ローマではなく英語圏に暮らしているという。
まあ、勉強はほどほどに、ということだ。


