PLAIN SIMPLE USEFUL

TERENCE CONRAN、つまりテレンス・コンラン。彼が開いた「コンランショップ」は何屋さんと呼ぶのでしょう、インテリア?雑貨? いやライフスタイルに想いを巡らせる店、というのかな。このコンランショップ、日本では20年以上前から新宿パークタワーという超高層ビルの低層階に店舗を構えていました。

このパークタワー最上層部にはパークハイアット(当時ハイアットの最上級)ホテルが入居していて、地上階の小さな独立エントランスから一気にEVで上がると、パっと眺望が開けるという仕掛け。それまでのホテルと言えば、敷地建物丸ごとホテルが主流だった時代、現在に続くビルイン高級ホテルの(日本での)先駆けだったのだと思います。もちろん僕は(山縣有朋が造らせた庭園だという意味では好みではないが)、豊かな敷地をもつフォーシーズンズ椿山荘の方が好みだったのだけれど‥(ボサボサの多摩丘陵とはだいぶ違うかな‥)。

そのコンラン卿(きょう)がこの秋に亡くなっていたことを最近知りました。新宿のコンランショップには随分立ち寄ったし(このビルは、各社ショウルームや建築インテリア系蔵書も豊富だったのです)、コンラン著書は何冊も所有(だけ)しています。

そして後で知ったこと。僕が高校の帰りに寄り道していた西武百貨店、その西武のハビタ館は、コンランが創業したハビタ(というショップ)との提携によって生まれたものだったのです。セゾン(西武鉄道に対してこう呼ぶ)が発するカルチャーがムンムンしていた時代、それを横目に育った僕は、後年自身が起こした会社に「スタジオカーサ」と名付けました。実はこの名称は、西武百貨店池袋内に当時存在した設計スタジオなのです(今はもうありません。さらに、あっちは設計、こっちは不動産業‥)。

(我が)スタジオカーサの語源は当時のセゾンにあり、その当時のセゾンにはコンラン創業のハビタが同居していたという偶然。そんな僕がコンラン、特に書籍にたくさんのインスピレーションをもらってここまで商売を続けてきたわけです。うすーいご縁だけれど、30年を軽く超えるながーいご縁を感じずにはいられません。

ハナシはまたしてもおおーきく逸れました。表題の「PLAIN SIMPLE USEFUL」もコンラン著書名。まさにこの3つのワードは、コンランと言えば僕が思い浮かべるワードであり、僕がそうありたいとも思う姿勢。この書籍「PLAIN SIMPLE USEFUL」は電子ブックにして持ち運べるようにしています。上の写真の通り、この人の本は重くて大きいので、ちょっと眺めようにも「よっこらしょ」ですから。

ちなみに、これも後で気づいて苦笑したことだけど、同じくセゾンのファミリーレストランの名称は「CASA」(こういう企業系列を知るのが好きだったので、こんなこと覚えていたのですヨ‥)。

結局、セゾンカルチャーが何か、本当のところは触れずに通り抜けてきてしまったけれど(僕はまだ若かったのだ)、僕にとっては空気のようなものだったのだろうと思います。

蛇足。セゾンには西洋環境開発というデベロッパーがありましたね。これまたセゾンらしい会社で。その話はまたいつか!

Facebooktwittermail