JJ(ジェイジェイ)ですか?

受付:「いけださん、少し前に女性お一人がモデルルームに上がられています。アンケートはご記入済みですが、参考見学とのことです。」

ボク:「はい、わかりました。」(アンケートを一瞥しモデルへ向かう)

【モデルルームにてご挨拶。まだ見始めであり、広い範囲で検討しているとのこと。】

ボク:「ところで、(このモデルルームには)何をご覧になってお越しに?」

【暫し沈黙‥】

女性:「‥JJです‥」

ボク:「えっ‥。ジェイ・ジェイですか‥」

女性:「‥‥えっ。え、ええ、住宅情報を見て‥」(動揺の色あり)

リクルートが運営する情報サイト「SUUMO」は、以前は「住宅情報」という名称の情報誌として書店で販売されていました。略して「住情(ジュウジョウ)」。あるいはもっと省略して業界の一部で「JJ(ジェイ-ジェイ)」と呼ばれていました。一般の方は「JJ」とは呼びませんね。「住情」はよいとしても、後者はまるで音羽の出版社お得意の女性誌じゃないですか。

当時のモデルルームは、ガチガチの予約制ではなく、ふらりと訪れることができる(逆にふらりと寄ってもらいたい)施設として営業している側面もありました。ですから、どこの誰でも、テキトーな(それどころか、実在しない人物となって‥)アンケートを記入の上で、モデルルーム内覧をすることができたのです。

ということは当然、敵(?)が送り込んでくるス〇イが紛れ込んでいる可能性も否定できない(どんな世界や‥)。ましてや平日の閑散とした時間帯になると、担当者も出払っておりご自由にどうぞ、と放し飼い状態に‥(別にモデル見られてもいいじゃないじゃないか、とお思いでしょうがそれなりにあるのですよ)。

上述のシーンとは別件ですが、モデルルーム外側を覆うプレハブの窓(普段は絶対開けない)が開錠されていたことがあってビックリ。更に、ある会社では顧客アンケートファイルが紛失し、そこに記載されたお宅に(資料請求した覚えはないが近くで販売している)他のマンション業者から営業電話が掛かってきた‥なんてことも実際にあった話‥。プレハブのモデルルームに警備会社のセキュリティが導入されるようになったのも、ちょうどその頃だったなぁと記憶しています。

話は戻って、住宅情報界のガリバー「リクルート」のこと。当時、この会社は不思議なチカラに満ちていました。メンバーが濃い。もちろん組織人ではあるけれど、一人づつ個人が生き生きと動いている感じというか。就社ではなく就職、更に言うと、社会に飛び出す準備として今はリクルートに在籍している、というのかな。「社会」自体が自分の「会社」であると思っているんじゃないかこの人たちは、と思ったものです(個人的感想)。

今でこそ人材の流動性は高くなり、リクルートのようなカルチャーを持つ企業が増えました。ですが、僕らの世代の大多数は就職=就社が既定路線、という当時。そんな頃でさえ、既にリクルートを卒業したOB達が社会のあちこちに散らばり、川上から川下まで繋がって仕事している。今風に言うと独自のエコシステム(生態系)ってやつでしょうか(?、違うか‥)。ボクの場合、リクルートコスモス(不動産業ネ)も身近で、ここの人達も全く同じ様子だったから、余計にそう感じたのかもしれませんね。

ところで、写真の女性誌(JJの本家‥)は遂に休刊となったそうですね。学校のあの子が読者モデルだとか、スナップが載ったとか‥思い起こせば懐かしいこの雑誌。その存在さえ忘れていたけれど、ずっとあのスタイルで走ってきたのでしょうか。よくぞここまで!と思います‥。‥長くなるのでやめておきましょう。

それにしても、雑誌廃刊のニュースが頻繁に聞こえてくる昨今。子供のころから紙の雑誌が傍らにあって、インスピレーションを得たり、多くの想像を膨らませてきた(JJではありません‥)ワタシとしては、ちょっと寂しい気がしています。

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