どこに木を使うか

中央に棚板二枚、左右は引戸。実は二枚とも同じ引戸です。木製可動ルーバーが組込まれ、一枚回すと全て同時にピタリと閉じる。羽根一枚一枚が無垢材です。

壁の向こう側は元・和室。以前は窓側左半分が壁で、右半分が引違いの襖(ふすま)でした。分譲マンションでもっとポピュラーと言える間取り。リビングダイニングと和室が並ぶ3LDKです。

つまり、「ご家族4人でしたら、当初は皆さん和室で川の字に寝られます。お子さんの成長に合わせて玄関側2室を与えて、和室をご夫婦の寝室に。その後、お子さんが巣立ったら洋室が戻ってきます。」という感じ。‥‥うーむ。

ではあるものの、このマンション自体は低層2戸1階段タイプで、独立した玄関ポーチがあります。全体の計画はいい感じです。窓外には樹々が茂り、山荘に居るよう。

管理規約でフローリング禁止。それならばとグレーのウールカーペットを敷き込みました。ウール100%の良さは別稿に譲りますが、濃茶色の木製建具と漆喰壁を合わせるとグッと大人びた山荘の趣きです。栗無垢材の厚い棚板も存在感あり。販売するリフォーム済マンションだったのですが、ちょっとやり過ぎました。

この住戸のミソは、中央に造作したTV台兼用の壁。和室を背にしてTV、そして反対の壁にソファを置く。するとスッキリ収まります。従前の間取りでは、TVかソファが襖と干渉する、もしくは配置を90度回転させても窓に掛かります。なんとなくビシッとしないリビング和室タイプのレイアウトを、なんとかしたいという試みでした。

まぁ、ここは鳥の声で目覚める素敵な環境なので、TV無くてもいいかな〜、なんて思いましたが! そういう訳にもいきませんよね。

土に近いところ

収穫のお手伝い@市民農園、写真は枝豆です。帰宅したら早速に茹でるのが良し。まだ陽は森の上にあるけれど、枝豆が湯気を上げたら冷たいビール。華奢な薄吹きのグラスに注げば、誰もいない料理屋に一番乗りの気分。なんて‥。我ながら安上がりなこと。

この市民農園、僕がマンションを手掛けるエリアではよく見かけます。JA(農協)が地主さんの土地で手掛けている場合が多く、比較的安価で借りることができて人気です。

一方、最近は民間企業の進出も盛んですね。遊休地を借り上げて貸農園として運営する事業です。それらの農園は、農具が揃いアドバイスも貰えるらしいので気軽にスタートできるのがいいですね。まぁ、その分料金はJA系の10倍以上するようですが。

この季節の農園は、青々とした葉がモリモリ。見分けがつかない豆の葉も、そら豆、絹サヤ、モロッコ隠元?そして枝豆、次第にわかってくるからいとをかし。

サラッと手を入れたリフォーム住戸と農園のある暮らし。いい相性だと思います。気取らず、いい風が吹いている感じ。農園が少し遠い?それでしたら下駄履きのような、ちょっとやれた軽自動車はどうですか。出来れば、農具や肥料も自前の方の農園でね。

そういえば、あの”風の男”白洲次郎夫妻が、武相荘を構えて農的暮らしをしていたのはこの地域、蔵と模のあいだの地でした。当時の鶴川村とは比べるべくもありませんが、土に近い暮らしはここに今も少しだけ残っている気がします。