目を凝らせば

photo by STUDIO GHIBLI「耳をすませば」

耳をすませば。スタジオジブリによるこの映画の舞台は、多摩川に程近い多摩丘陵の高台。聖蹟桜ヶ丘から多摩センターあたりのようです。主人公の雫と、欧州留学時代の悲恋の幻影を雫の中に見たお爺さん(と、その孫で中学卒業後イタリア修行に出る聖司)の、実は切ない物語。上の写真は、雫が家族と暮らす団地のダイニング。壁に掛かる瞬間湯沸し器と、据え置き型のガスコンロが団地の雰囲気を醸しています。

これらの機器は、リフォーム前の団地を見る機会が多い僕にとって、懐かしいというよりも結構見慣れたもの。

以前、何かの雑誌で、建築士の自邸リフォームを眺めていた際に、敢えてこの瞬間湯沸かし器を組み込んだ、素敵なデザインのキッチンを見掛けました。使い勝手が良いのだ、とのこと。確かに、屋外の給湯器から長ーい配管を経由して、お湯が出るまでの時間と水の浪費を考えると、瞬間湯沸し器はいいんじゃないか、と改めて思ったりします。”作業場”感も醸していて単にオシャレというキッチンとは一線を画すというか‥。もちろん、最近の密閉性が高い住宅の場合には換気に注意する必要がありますが。

また、据え置き型ガスコンロも、ビルトインじゃないのぉ?という風に捉えられることが多いのでしょう。が、随分と精悍なデザインと性能を備えた製品が出ています。見た感じはそのまんま業務用。全面ステンレス、鋳物製の五徳、大火力バーナー、黒いシンプルなツマミ。デザイン的には、以前ここでご紹介した男前ビルトインガスコンロに勝るとも劣らないものです。もちろん家庭用です。なお、ホンモノの業務用を流用する場合はご注意ください。機能美に惹かれますが、安全機能や必要な換気量などの基準が一般家庭用とは異なっているようですから。

これらの機器を活かしてリフォームを出来ないかな、と思ったりします…。そういえば先日、ビルトインよりも据置型が好きだ、それ(据置)にしたいという方が居られました。うん、そうそう、と思わず呟いて‥。

楽しいですね、皆さんそれぞれのテイストがあって。でも、これをリフォーム済販売住戸で実践するには、僕はまだまだ修行が足りなそうです。

そういえば、映画の舞台となった周辺はかなりの高台です。南西方向に目をやると、丹沢の山々がシルエットとなり連なっていることでしょう。首都圏郊外もこの辺りに来ると、山に囲まれた場所であること、山々に守られた場所であることを実感します。そして、さらにその先に目を凝らせば、名峰富士の姿がくっきりと見えるかもしれません。

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