喰う寝るところで住む処

光と風の抜ける暮らし、はモチロンいいけれど‥。

木枯らしが吹く季節の、もう宵の口とは呼べない時間帯。そんな時には暫し、光と風の出番はお休み。暖かく閉じられた空間で、キッチンカウンター越しに杯を傾けたい。そんな感じの小さなダイニングスペースです。

このダイニングは、直接窓に面さない落ち着いた住戸中央部に位置します。緩やかにつながるリビング越しに、空と緑を望みます。この住戸の開口部は南北に合計4カ所。2戸1階段の両面バルコニー、ワイドスパンですので、すべての居室がゆったり開口しています。

ここは元々、壁付けキッチンがあるだけの空間。ダイニングとするには悩ましいスペースでした。ダイニングはリビングと一緒にバルコニー側居室に持っていくのが良いのか?それとも何にも作為はせず、キッチンだけ付けて後は使い手に委ねるのが良いのか?と、余計なお世話で考えた末に、決めたのがこのカタチ。

壁や棚と一緒に、ついでにシンプルなダイニングテーブルも造作。小さいながらもダイニングキッチン、狭いながらも楽しい飲み喰い処となったのでした。

もちろん、キッチン本体をこちら側に向けて、対面にダイニングカウンターなんてのもいいですね。ただし、この住戸もリフォーム済の既製品として販売するものでしたので、手を掛け過ぎずに収めました。

そういえば最近、大手キッチンメーカー(だったと思う)が、「テーブル」と一体化したキッチンを発表した、という記事を見掛けました。「キッチン」(にテーブル)というモノは見掛けますが、本件は逆で「ダイニングテーブル」(に小さなシンクとコンロ)という感じ。聞けば最近の要望として、もっとダイニング&キッチンを小さくして、居室に面積を割きたいという声があるのだとか(え、ウチのコレそのまんまだゾ‥少し前だけど)。なんとそのキッチン付テーブルのお値段は「100を遥かに超えて万円」でした‥。

えー、いいけど高いナ。それよりも、そういうオモロイモノは大工さんに相談しながら、作ってもらったらいいじゃないのかな、と思います。もっとすんごいの出来ると思うケド。

ちなみに、ご存知でしょうが、キッチン本体とダイニングテーブルは近くて遠きもの。「何が?」「高さが‥」。そうなんです、キッチン高さは(標準)85cm、テーブルは(だいたい)72cm。この約10cmが、ふたり一緒になることを許してくれないの‥。

このふたり(の高さ)を同一平面に収めるには、①調理側床を下げる(食卓側床を上げる)、②ダイニングチェアをスツールにする、など工夫や割り切りが必要になるわけですね。

で、どうする? 僕は、(高さが)一緒にならなくてもいいじゃないか、とふたりを諭したい。そして、笠木の付いた壁を間に立てて、対面の割烹風カウンターで一献といきましょう!

Facebooktwittermail