あり合わせのものですが

イタリア在住のコラムニスト大矢アキオさん、僕が若い頃に時折読んだ自動車専門誌の出版社に居られた方。その後、早くに独立してイタリアに渡られました。彼の地から、自動車文化を軸にしたイタリアについて発信されており、書物やコラムを楽しく読んだものです。

最近、久しぶりに彼のコラムを目にして、フムフムと頷いたこと。

ご存知フェラーリ(酒でなくスポーツカーのほう)のテールランプは、最近まで(一部の例外を除いて)丸型であったわけですが、(少なくとも初期の)ランプは大衆車の流用であったという話(わかるワカル、あのクルマだ)。つまり、以前の本稿にも登場した「また直してくれよ、トニー!」のFIAT社の小型大衆車と一緒であると。ちなみに、現在は大FIATグループに属するフェラーリですが、このテールランプの件は、傘下に入る前のことです。

つまり、エンジンやスタイリング(専門の工房が車体まで製作しますね)、そして走りそのものに神経を注ぐなかで、パーツなどの端部は重要ではない、というか安価に調達することが命題だったのでしょう。もっと言うと、エンジンや内装はすんばらしいのに、信じられないようなチープな電装パーツによって、えーっというトラブルを引き起こすこともあったのが当時のイタリア車だった、とも言えます。(注:これは個人の実体験・感想です‥。なお、Fe社は知りません。)

そして今、フェラーリ最新車種の(丸型でない)テールランプデザインについて、あれこれとファンたちが(伝統の丸型を踏襲していないと)騒がしい件を、大矢氏が「しょせん始まりは流用ではないですか、デザイナーの勇気を称えましょう」と軽ーくコメントしています。ハハハ。

そういえば、我が社用商用車のテールランプは、(いまだに)素っ気ない四角型。往年の欧州小型車のランプに酷似します。この車輛を選んだ理由、実はこのランプなのです。デザインのためのデザインではない、安価で機能だけのパーツが良いのです。大衆的な車輛であっても、最近の新車パーツは今っぽく手の込んだカタチをしていますからね。

僕の(当社で販売する住戸の)リフォームは設備がシンプルで、上の時代のクルマづくりと、少し似たところがあります。設備機器が一番重要ではないと思うこと、空間全体で何かをつくりたいと考えていること、(それとお金をあまり掛けられないこと!)。もちろん、ウチは名だたる高級車でもなんでもなく、大衆車ならぬ、お求め易いリフォーム住戸です。比べるべくもなく、当たり前ですが。

特別なものは使わず、何時でも何処でも手に入る材料で、気持ちの良い空間をつくりたい。もちろん出来ることは限られているけれど、ほんの少しの想いや手間を掛けることで、パッと開けることがあります。

料理も同じですね。その場にあるものでチャチャッと仕上げて、カッコイイ。

何もない家‥。冷蔵庫にあるのは、萎びた長ネギのみ。パントリーには米、それと‥あったよ!オイルサーディン缶。男がこれでチャーハンを作り、男女がウマイ!と快哉を叫んで喰らう、という光景。

まぁこれは‥、森瑤子さんの小説だったからアリなんでしょう‥ねぇ。

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