集まって住むこと

上の写真は、集合住宅の一種であるタウンハウスの敷地内。手前に写るタイル部分は玄関ポーチ、以前に当社がリフォーム済販売した住戸です。奥に写るレンガ色の構造物は、下部が屋内駐車場、屋上は水の流れる広場になっています(素敵ですねー)。

タウンハウスは、日本語でいうと「(現代風)長屋」と呼ぶのでしょうか。低層2階建て程度の住戸が界壁を共用して横に並んで建つ形式です。八っつぁん、熊さんの住まいが現代的になった(だけ)という印象なのか、タウンハウス(連棟式とも呼ぶ)は「長屋でしょ」と言われ、マンションの方が「近代的でおしゃれである(ホント?)」という評価が(以前の不動産業界には)あった気がします。最近は知りませんが‥。

英国でも米国でも、古い街の風景にはタウンハウス。確かに上に伸ばすタイプの住居ではないから、高層建築が可能になっていく中で存在感が低下したのでしょう。それでも彼の地の重厚なタウンハウスは、有名人がリノベートして暮らしていたりするようです。カッコイイじゃないか!

タウンハウスは大きな土地に絵を描いていきますからプランニング上、結構自由度があって、ランドスケープも住戸プランも変化に富んだものが出来るはずです。が、日本ではどうにも地価が高いうえに、タウンハウスの評価が高くないのであまりつくられません。ブツブツと小分けに土地を区切って、敷地内に道路で繋いで戸建群をつくる方が、より高く売りやすい。狭い庭でも自分のものは自分のモノ、ということです。

ところで写真のタウンハウス、僕が販売した際の説明資料にこんな文章を書いています‥。「駅へ続く道から敷地に足を踏み入れると、風景が一変します。大きく育った樹々と、縫うように続く小径や広場がつくる佇まい。総戸数40戸、1住戸あたりの土地持分が約75坪の広大な敷地です‥(続く)」

なんと1住戸あたり75坪!つまり、この住戸の専有面積117㎡(約35坪)に対して2倍以上。この持分を全住戸分まとめた広大な土地、そこに描かれたランドスケープは豊かです。多くの樹々も共用部分。だからこそ個々人の負担は比較的少なく、その中に身を置き景観を楽しむことができる。

このタウンハウスの前オーナーは、晩秋の落ち葉に埋もれた風景が一番好きだ、と言っていました。居ながらにしてそんな気分になれる、ちょっと特別なタウンハウス。前述の通り数は少ないですが、見つけることが出来たら集合住宅の、ひいてはマンションの見方や選び方も少し変わるかもしれません。

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