ファースト、セカンド‥‥

ファーストと言えば、「四番、ファースト、王(場内アナウンスのイメージで)」

セカンドは、「二番、セカンド、篠塚(同上)」

ではサードと言えば‥‥(しつこいぞ!でも、あの人ですね)

ファースト、セカンド‥と聞くと、子供の頃は好きだった野球場のざわめきと臨場感、ウグイス嬢(今もこう呼ぶのか?)の声を思い出します。上のアナウンスはモチロン、往年の巨人軍(王選手と篠塚選手は重なっていた?よね‥)。

そんな小学校時代の僥倖のひとつは、王選手のホームラン世界新756号達成の瞬間に後楽園球場のスタンドに居合わせたこと。小4の9月3日、照明が消えた球場で一筋のスポットライトが照らす王選手とご両親の姿が思い浮かびます(多分そうだった記憶‥)。

世の理として、ファーストがあって初めてセカンド‥と続くわけです。が、野球に限ったことではなく、セカンドというのは味わいのある小技の利いた立ち位置ですね。例えば水島新司さんのドカベンなら、殿馬一人という二塁手(これ野球だろ‥、というか古すぎるか‥)。ちなみに声の主(アニメ)はスネ夫くんと同じ方(肝付さん)ですよね。声からして味あるわ。

そもそも僕が扱うものは中古、すなわちセカンドハンドだから、セカンド贔屓になるのは当然のハナシ。新しい建物が時間の経過とともに味わいを増し、苔むし(?)、カビが生え(‥)、良くも悪くも素性が露呈する(きびしー)のです。セカンドの味わいは唯一無二のモノというわけです。

閑話休題

さて、上の写真の話。

道路向こうの緑地まで見通す奥行10m超の空間は、南東・南西角の三面採光。真ん中に鎮座するキッチンを挟んで、二つの空間が緩く繋がっています。朝から午後まで、室内を移ろう陽射しが部屋の表情を刻一刻と変えていくのです。

勝手に言ってしまいましょう、手前はセカンドリビングである、と。

まだ従前の間取りだったこの住戸を取得したボクは、日の出前にここへきて朝日が昇るのを待ちました。「おーっ!やっぱり‥」と、当時単なる個室だったこの部屋の窓二カ所に、低く眩しい朝日が差すのを確認したのです。そしてそのまま10mの長辺に沿って移っていくことも。

そして、バカボンに登場するお巡りさんのお目目のような「ひとつながりの空間」が、僕の落書きそのままに実現したのでした。そして同時に、朝日の中で珈琲を飲むため(だけの)セカンドリビングも‥。

なんて‥。実際は二つの空間をどのようにでも使っていただけるように、と思いながら計画したのですが、なかでも朝日のコーヒーは魅力的だな、と。

そして今、とても素敵なご夫婦にお住まいいただいています。前述したボクの行動と想いをまるで見ていたかのように、朝日の注ぐ(セカンド)リビングで、鳥の声と共にコーヒーを楽しんでいらっしゃるとお聞きしました。

そんな話を聞くだけで、こちらまで幸せな気分。10年以上に亘って、樹々に近く、光と風が抜ける(であろう)住まいを(細々と)つくり続けています。こんな出会いと小さな喜びが、歩き続けるチカラになっているのだと思います。

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