壁に華あり

中古マンション(区分所有建物)を取得してリフォーム実施後に販売する事業、これは一般的に買取再販と呼ばれます。買取再販事業に係る不動産取得税への減額措置が存在するくらいですから、(お役所にも少なくとも)事業として認識されているようです。(もちろんこの減額措置は、最終的に消費者負担の軽減が目的で、業者のためではないですが‥)

一般的に、この買取再販で好まれるのは駅近で築浅の物件。「不特定多数に向けて販売する」わけですから、需要が多そうな物件を選びたいのは当然です。間取りについても、誰もが許容できるものが良い。新築時の間取りを(敢えてお金を掛けて)変更する必要はない、と考えるのが普通です。

そのようにして新築時の(よく言えば普遍的な)間取りのままに、内装材を一新した「リノベーション済住戸」が誕生するわけです。

そういうボクも10年以上に亘ってこの業務に携わっています。「光と風が抜ける住まい」を(少しでも‥)実現するために、物件を選び、プランを検討してリフォームを行っています。

ところで、ウチの場合「業者は駅近で築浅の物件を好む」という王道からずいぶんと外れた位置に立っています。つまり駅近物件は少なく、築浅の建物にもご縁がないということ。その代わり、光と風が抜けたり、樹々が茂ったり、(年月を経て)落ち着いた佇まいを見ると喜ぶのです。それに加えて(以前からお話していますが)共用廊下に居室が面する物件もあまり好まないし、部屋数を減らす間取り変更も厭わない。

となると、不特定多数に広く訴求できず、検討対象者は限られます。であれば、せめて間口を広げるために内装は出来るだけシンプルにしておくのが基本方針。なのですが、時にはそれでは飽きたらず、ちょっと色のついた住戸をつくることも‥。

上の写真もそのような事例です。50㎡程度のコンパクト住戸を「古いアパートメントを自ら改装して暮らす」イメージでリフォームしたものです。(要は、設備の一部を残して新旧を擦り合わせてみた、ということデス)

小さなダイニングキッチンの窓外に広がるのは、公園の樹々。その溢れる緑が室内にまで繋がっていたら…。ついついそんな想いで、植物をモチーフとする壁紙を貼ってしまいました。場所はダイニングの壁一面(袖壁と下がり壁でできた、門型の壁)。ちなみに裏側は単色ですが、グリーンです。

よく知られたウィリアム・モリスを始め、草木からインスピレーションを得た壁紙は、表情豊かでページをめくっていても飽きません。でも奥が深そうで、自ら選ぶとなると話は別です。だって、言ってみれば花柄ですよ‥。

ということで写真の壁紙、実はボクが選んだものではありません、悪しからず…。

「やっぱりプロに任せてよかったわー、オイラが選んだアレを貼っていたらどうなったことやら…」(心の声)

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