三人の日

ようやく立春。高くなった日射しと凛とした空気が混ざり合う感覚は、この季節ならではです。

春という字は 三人の日 と書きます あなたと私と そして誰の日?

と始まる懐かしい歌は「春ラ!!!」。石野真子さんのヒット曲、ご存知ですか(一体、誰に聞いているのか‥)。続く歌詞は、

あなたが好きになる前にちょっと 愛した彼かしら 会ってみたいな久しぶり 貴方も話が合うでしょう 三人揃って春の日に 三人揃って春ラララ♬

‥というもの。なんでそんな男と会わなきゃならんのだ‥。

今改めて考えると、とんでもない歌詞ですが、まあそれはいいや。当時小5だったボクにはどうでもよいこと。春には感傷的な歌が多いですが、この歌はカラッと振り切っていて、これもまた良しか‥。

ちなみに、手元の常用字解(白川静著)で確認すると、「春」という字の由来には、当然ですが「三人の日」はありません(笑)。草が力強く生えてくる様を表す中国2000年前の文字が元になっているのですね。

真子さんといえば‥。ボクが中1になる頃、(ゴダイゴ〈GO DIE GO、つまり輪廻転生か〉がテーマソングを歌う)ポートピア博覧会に行こうぜ!と友達と二人、神戸の叔母を頼って出掛けたことがありました。

海に浮かぶ未来都市ポートアイランドは、残念ながらあまり記憶がありません。覚えているのが、灘中高の校門(アホか‥)、そして石野真子さんの実家界隈(叔母に教えてもらったのだ)。どーでも良いことだけ覚えているものです。

そう、当時のボクは真子さんのファンだった。サインだって書けるゾ(あと王貞治さんもね)。そういえば、大人になってから神楽坂の酒場でお見掛けしたこともありました。うふふ、ご縁があるのだよ(ナイヨ)。

せっかく辞書を持ち出したところで、ひとつ。

忙しいの「忙」という字は、「りっ心べん」と「亡(ぼう)」からなるので心を亡くすという意味だ、とよく聞きますね。だから忙しくしてはイケナイ、心をなくすから、と。

常用字解によると、「いそがしい、あわただしい」の意味に使用するのは、唐の時代以後のことだそう。それ以前には、ぼんやりとした様子を表していたようです。

もうすぐ春がきます(いや、もう来たのか‥)。忙しくすることが多くなる季節。忙しいことを嘆くより、忙しさのなかにもボーっとして、春の陽射しにぼんやりと心を遊ばせる隙間を持っていたいもの。

いつもテキパキと如才なく張りつめているよりも、茫洋として捉えどころのないところに案外、本物が隠れている、なんてことがあるかもしれません。

閑話休題‥。あ、閑か‥。

閑忙という言葉がある通り、閑と忙は反対の意味ですね。でも、古くはどちらも似たようなもので、ボーっとしていたのかも‥。皆が忙しくするこの季節に、ぼんやりと春を待ちわびている自分。まぁそれもいいじゃないか、なんて思おうとしてみたりして‥。

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