市中山居

寒暖と晴雨を繰り返しながら、ようやく四月になりました。

冬のあいだの多摩丘陵は、葉を落とした樹々や森でさえもボリュームがあるせいか、人工物で埋められた街よりも少しだけ寒々しい。だからこそ、春を迎える喜びは都心の街と比べて大きいのかもしれません(もちろん、厳しい冬を越えて春を迎える北国とは比べ物にならないけれど‥)。

森に近く暮らすことの楽しみ(楽しい”面”というのが正しいですね‥)をしみじみと感じる、今日この頃です。

昨年中にリフォームをご一緒した方からのメールに、「すっかり朝型人間になりました。朝が気持ちよい場所です、シジュウカラが鳴いています」とありました。これまでは都内の閑静な住宅地にお住まいだった方です。窓の外に小さな森が見え、その向こう側から朝日が昇り、鳥がさえずる環境はまさに別世界でしょう(笑)。

そういえば一昨年も、同様に都内の閑静な住宅地から丘陵に移られた方が居られます。街の喧噪を少しだけ離れて、別荘(暮らしのような)生活をすべくこの丘陵に分け入ってこられました‥。果してそのご希望通り、街には近いけれどそこは別世界。「朝日とともに起きてきて~♪、夕日を眺めて寝てしまう~♬」というカメハメハ大王のような(これはないです…笑)素敵な暮らしを手に入れられた(ぱちぱち)。

皆さん、都心までの(比較的)良好な交通利便性は確保しつつ、のんびりとした日常を楽しんで居られる。そのいい塩梅のエリアが多摩丘陵であるというわけですね。

そうなのです、このエリアは多摩川を挟んで東京と向き合うフロントライン。ここで気ままに暮らしながらも、一旦緩急あれば街へと駆け付ける。まるでその姿は、英国の田園に居を構えつつ有事の際には最前線に赴くジェントルマン、ひいては鶴川に居を構えて都心に睨みを利かせた紳士、白洲次郎翁を彷彿させるじゃないですか。(曲解しすぎ、スミマセン)

そういえば随分と昔に塩野七生さんの著書で、ジェントルマンの語源(起源?)はイタリアに在りと読んだ記憶があります。その始祖である伊版ジェントルマンについては最早(ボクには)定かではありません。しかし本場英国のそれを経て、多摩丘陵に住まう顔ぶれにもその心は受け継がれている、そう思うのは多少無理がある…か(笑)。

かくいうボクも、鳥が鳴き樹々が茂る環境に身を置くひとりですが、まさに先日「一旦緩急」あって街まで駆け付けてきたところです。

「ランチビール‥」

アホか‥。しかし、のほほんと暮らすボクにとっては、これは一大事。懐かしい顔からの誘い(誘惑か‥)に押っ取り刀で馳せ参じ‥へへ。

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