
FIATという会社、ご存知ですか?
そうです。イタリアの自動車会社であり、多角化された事業会社を持つ大財閥です。
FIATの名称は、「Fix It Again, Tony!」(トニー、また直してくれよ!)の略。
‥‥。このアメリカン(ですよね、英語だから)ジョークは、僕が若い頃に聞いたもの。確かに当時のイタリア車は、こんなヒドイ言われよう(要するに、すぐ壊れる!の意)に頷ける部分も少なからずありました。僕はそこ含めても良しとしてきましたが。
余談ですが学生当時、ぼーっとしていた授業で、世界の自動車会社の部品調達は共同化し、いずれ合併が進んで最後は数社になります、とのこと。ホーッ、本当かい?みんな同じでつまらんなぁ。と、この部分だけ記憶があります。その後あれよあれよという間にメーカーの合併が進んで‥。先生すごいのね!
米国のジョークは置いておいて、正式には「トリノにあるイタリア自動車製造工場」みたいな意味の、潔い名前です。
FIATは廉価なラインが中心なのですが(ちなみに殆どの国内メーカーはFIAT傘下なので、グループではフルレンジです)、そのベーシックなクルマにこそイタリアらしさがあったと思います。高級車は輸出用、街中はベーシックカーだらけです。(今は知りません)
カーデザイナーを中心にクルマづくりができる土壌があったからでしょう。安価な素材と工法を使って割り切りの良い、且つデザイン的にも魅力的なクルマに仕上がっていました。高級そうに見せたり、卑屈だったりとは無縁。クルマって本来はこれでいいのだ、という意思を感じました。
粗で野だが卑ではない、という名言ならぬ、”素で安価だがチープではない”という心意気です。
僕の「無理なく買えて気持ちよい暮らし」という想いは、実は、これら小さなイタリアンカーの佇まいに影響を受けている部分があるのです。


