窓は語る

毎日毎日、開いたり閉じたり、忙しく働いている窓廻り‥。たくさんのコトが求められている箇所のひとつが窓廻りでしょう。

まず第一に光と風の出入口であり、バルコニー面ならば人と物も出入りする。眺望を楽しむ開口部であるとともに、外からの視線を遮ることも求められる。更に、太陽の暖かさを取り込む一方、冷たい外気を遮断する。内外装が施された壁や天井と違い、身ひとつで住戸の外側と内側の二役を演じているのです。まるでジキルとハイドではないですか!

そんな頑張るサッシ、日本で使われ続けているのはアルミサッシですが、これは世界的にはあまり評判の良いものではなくて‥。熱伝導率が高いおかげで、夏熱く冬冷たい、そして結露の温床にもなっている。デザイン的にもそれほどステキなわけでもありません(スイマセンこれは主観です、アルミサッシサイコーも有りですね.たしかに、古くて味のある窓枠も見掛けます.あれはスチールサッシなのかな)

そんなこんなで、いろいろとタイヘンなサッシ問題ですが、ここでは置いておいて。(なんだよ、置くのかヨ‥)

写真は、専用庭や玄関アプローチを持つ大型住戸のリビング。奥に続いている居室部分までをリビングの延長として、緩やかに繋げています。その”連続したリビング感”をつくる目的も兼ねて、ここ全ての窓廻りに採用したのが、木製建具のウッドシャッターです。

ブラインドではありません、建具形状の扉です。室内側に鎧(よろい)戸が付いている、というイメージでしょうか。

羽根は可動式のルーバーとなっていて、一枚の羽根を動かすと全ての羽根が一斉に同じ角度に動きます。光と風、景色や視線を、季節や時刻に合わせて羽根の角度で調整する。もちろん、ピタリと閉じることも可能で、それらの動きはとても柔らかくスムーズ。シンプルな木製品と見せかけて、精密なギアが内蔵された凝ったつくりなのです。

そしてすべての羽根は天然木の無垢材。無垢フローリングと同様、時間の経過とともに味わいが出てくることでしょう。海外で見掛ける二重ガラス木製サッシのように、高い断熱性を期待するためのものではありません。あくまで光や風などのコントロールが主目的ですが、先のアルミと比べても熱に対する挙動は穏やかです。

いいですね、ウッドシャッター。もちろん、これだけの質感と精密さを持つ建具をオーダーメイドで製作するわけですから、価格は相応ですが‥。でも、それに足るものを日々の暮らしに与えてくれる逸品だと思います。

Facebooktwittermail