すまいは夏をもって旨と‥する?

長雨の時期が明けると、くっきりとした空に季節の急展開を感じます。梅雨空に聞こえていた涼し気な声はヒグラシでしょうか、梅雨明けと共にこちらも一転、夏の暑さを演出するじりじりとした蝉たちにバトンタッチされました。それも随分と急に。ミンミンゼミかな。これからアブラゼミが登場すると、聞くだけでもう汗が出てきます。

勝手なもので、鬱々として梅雨明けを待ちわびていたのに、もう夏の暑さに気を揉んでいるわけですね。

そんな夏と家について、兼好法師さんは、家のつくりは夏に心地よいのが良い、冬はどうにでもなるから。と書いていますね。また、天井は低いほうが良い、溜め水よりも浅くとも流れている水が涼し気である、とも。

当時と比べて、現代の住宅においても夏を旨とするべきか否かを論じても、答えはなかなか出ないのでしょう。地球環境、そして住居自体の構造や環境も違います。中途半端に密閉性が高いマンション暮らしは、冬の寒さも封じ込めてこそ健康住宅足り得るのでしょうから。

兼好さんの言葉から思うのは、技術よりも心の有りようについて。心持ちで涼しさを得ることの大切さです。

マンションですから、住戸の条件は完全には変えられません。住戸ごとに規約などの範囲で上手く擦り合わせていくしかない。窓の位置はもちろんのこと、庇、サッシ、ガラス、網戸。断熱の有無、方法も然り。そもそも蓄熱するコンクリートを外側に現した建物なのですから、どこかで折り合いをつけていかなければ。

ですから、気持ちの良い住戸を選び、専有部分内で間取りの工夫し、そして目や心が涼やかになる設えをする。時代は移っても、心地よく感じる心は、技術ほどには変わっていないのだろうと思います。

それに今は、高性能なエアコンがあるんですよ。目にも涼し気なツマミとビールでもあれば上等です!そんな結びでは、身も蓋もありませんが‥。

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