リノベと言えなくて…夏

毎日たった1分ずつ、それでも日暮れ時刻の早まりをはっきり感じるこの頃。そして早朝、窓外の空気に僅かな秋の気配。そうは言いながら、日中の強烈な陽射しに打たれて、風情を感じる余裕はまだないけれど。

さて、僕がリノベーションという呼称を使わなくなって随分経つ。調べると8年前の販売物件を最後に、その後は単にリフォームと呼んでいる。その時を境にして改装内容が変わったわけではない。

そもそも僕のつくる住戸は、僕が思うところのリノベーションではないから、そう呼ばないだけ。そう呼んだ最初の数年は(若くないが)若気の至りだ。ちょっと恥ずかしい青春(若くは‥)の1ページみたいな。

ただ、ここではリノベーションの定義には触れない。定義も何も、巷間にはその言葉が溢れ、使われ、それが示すものとして理解されているのだから。それが今、世の中が定義する「リノベーション」なのだろう。

そして僕にとっては、もはやリノベーションでなくてもいいという気がするし、それを謳いたいわけでもないから。できるだけ無理なく簡単に、どんな気持ちの良い暮らしの土台ができるのか。つくって販売する住戸も、もしくは物件からリフォームまでご一緒するものも、そのどちらも目的は変わらないから。リノベのためのリノベ、凄いぜ!このリノベ、とはならないから。

昔、日本人ファッションデザイナーが世界の舞台に躍り出た時代。それに誰かがワーッと続き、国内に大きな市場ができて、DCブランド(はお洒落)と、ひと括りにする呼称ができた。峠を越えた、と感じる瞬間。ファッションはその時代を越え、また次の時代と幾つかの変遷を経た。そして、現在のスマートな着こなしがある(僕のことではない)。逆にファッション業界を取り巻く環境の激変も‥(もちろん激変しないカテゴリーもあるのだろうが)。

リノベの世界も同じような土俵の上にあるのか。今は盛り上がりのピークなのか。雑誌を見ても、独創的なはずのリノベ事例にも既視感がある気がする。

今のファッションの着こなしのように、住宅リノベ/リフォームも、肩ひじ張らずに無理なく気持ちよく。もっとそんな風になっていくのか‥、な。

ここまで書いて思うこと、ひとつ。上手に暮らす人は、どんな家でも何処ででも、素敵に暮らすことができるんだな、ということ。まるで身も蓋もないハナシ‥。なんで素敵なんだろ、どうしたらそうなるの?と思うけどそれを解るのは難しいこと。だから、そんな暮らしの舞台をつくるきっかけになるような、アシストとなるようなリフォームができればいいなと思う。

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