ながーく愛して

最近、こんな高級分譲マンションがありました。昭和50年代竣工の既存マンションを再生させるとともに、同敷地の余剰容積で別棟を増築するというものです。大手不動産会社の手によるもので、もちろん全住戸が販売対象です。

最近のワードで言えば「一棟丸ごとリノベーション」というものですね。この会社に先駆けて、いくつかの不動産会社が10年以上前から企業社宅などを再生して分譲する事業を行っています。けれども今回の事例は、比較的保守的であろう大手不動産会社が手掛けたことが印象的でした。

そして、目についたのが第三者評価機関の評価で、建物の残存耐用年数65年を確保したというもの。つまり、竣工から35年を経過した躯体があと65年、通算で約100年の耐用年数を持っていると公的に評価されているのです。

建物の堅牢性、構造の話だけでなく、コンクリートの中性化による劣化が少ないことが評価につながるでしょうから、建物の修繕や管理状態がとても大切だと言えます。どの建物でもこれだけの高評価が得られるわけではないということ。

でも、こういう事例(や評価)が出てくることは、建物寿命に対しての世間的な見方が変わってくるきっかけになるかもしれません。(世間的な見方‥と書いたのは、本来の建物寿命自体が何ら変わったわけでなく、きちんとしているものはもともと長寿命であるということです。)

減価償却に係る法定耐用年数(47年)などと混同される、実際にはずっと長いであろう耐用年数への誤解が、少しでも解消されて古い建物を愛でる方が増えるといいと思います。あ、でもそうなると、現在は低い評価をされて割安感がある建物が再評価されてしまい、お得な物件でなくなってしまうかもしれません。

まぁ、そんな極端なハナシはないですね。杞憂ですか、それは。

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