ボクが大家で、店子もワタシ

ウチの店子、Kumataro Lancia、Kumajiro Lancia 兄弟

店子と書いて、タナコと読みます。借家人を指す古い(江戸?)言葉ですが、当時とは大家との関係も異なりますし、現代ではあまり目にしません。業界では、店舗のテナント(だけ)にその呼称を用いる場合が多いですね。語呂が良かったので、そんな言葉(タナコ)を使いました。スミマセン。

さて‥

日経ビジネス誌で宗健さんという先生が、「持ち家VS賃貸論争はデータを見れば結論は出ている」という記事を書いておられました。その中の小見出しのひとつが、

「持ち家は、自分を顧客とした最も確実性の高い賃貸事業」

というものでした。これは僕が以前に書いた「マンションの鍵貸します」に出てくる、「自分が大家で自分が店子」という内容と全く同じことですね。せんせー、ボクもそう思います。

ちなみに先生は、賃貸住宅に含まれているコストについて次の(箇条書きの)ように挙げて、「その家主が得る利益が自分のものになる分だけ、持ち家は賃貸より有利になる。」と簡潔に述べられていました。(あくまでも一般例です。逆に、例えば自分は借家に暮らし、別に所有する賃貸住宅から収入を得る資力や運用力があれば、ハナシは少し違ってくるかもしれませんね。)

  • 家賃には、家主の利益が含まれている(持ち家は自分のものだから利益は乗せない)
  • 家賃には、家賃滞納コストが含まれている(持ち家は自分で払うので他人の滞納リスクは負担しない)
  • 家賃には、空室コストが含まれている(持ち家は自分で住むので空室コストはない)
  • 家賃には、入居者が入れ替わるときに家主が負担する原状回復コストや入居者募集コストが含まれている(持ち家にはそうしたコストは発生しない。ただしリフォームコストは発生する場合がある)
  • 賃貸物件のためのローン金利は持ち家のローン金利よりも高く、その差額分は家賃に乗せられている。

もちろん、上記は経済的側面の話です。持ち家は住宅ローンを完済後すれば居住費がドンと下がる一方、頻繁な転居には不自由。一方、賃貸は借入金を抱えず心は軽く暮らせるものの、将来に亘り家賃を支払い続ける不安がある‥などなど、どちらも良いことだけではありません。そして何より住まいとは、経済的な損得だけでなくライフスタイルに絡むことですから、決まった結論はありませんよね。でも、経済的には結論が出ている、という記事です。

先生の話に加えて、持ち家を購入するのなら、もうひとつ考えておきたいこと。それは、時間軸。以前、「家は焦らず ‐You Can’t Hurry Home-」の中で、家を購入する行動に移るまでの長い(準備・検討)期間のことを書きました。そんな期間中も時は過ぎていく。だから、その時間さえも自分の側に取り込んで、味方につけた方が良いのではないか、という内容でした。

以上の2点は既に、誰かが何処かで謳っていた内容だろうと思います(自分の中に湧いてきたことを書いた気でいる僕も、それを覚えていただけなのでしょう‥)。よく考えればわかる基本的なことですが、ここに改めて思い起こしてみました。

でも、もっと忘れてはいけないコトがあります。それは、住まいや暮らしはそもそも損得ではないこと。そして、あまり無理をしない、ということですよね。

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